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2007年9月

2007年9月26日 (水)

月夜に浮かぶ月 Vol.3

 寝返りを打つと、ぼんやりと人の顔が映った。エッと思いながら、目の焦点を合わせると、目の前に女性の顔があった。ボーッとした頭を回転させながら、昨日の出来事を思い出した。

 友達と私の家にきた彼女は、私のいない間に家に泊まることになっていた。私が家に戻ると、昔から家族であったように見えた。3か月からの出張から解放されたせいか、あっという間に一日が過ぎた。

 そう、確か彼女は妹と同じ部屋で寝ていたはずである。なぜここにいるんだろう。何にも手を出していないことを確認すると、そーっと外に出た。

 資料を書くために図書館に行き、いろいろ資料をあさっていると、窓の外から見たことのある顔が見えた。彼女だ。確か、私の家には彼女のものは一切なかったが、白いワンピースにブランド物のバックを肩からぶら下げていた。サングラスの隙間からこちらを見つめていた。

 これまでの経緯から、なんだか彼女とかかわりたくなかった。気付かないふりをしていると、ゴンという音が聞こえた。何の音だろうとさっき彼女がいた場所を振り向くと、彼女が図書館の窓をたたき始めていた。

 そんな行為を止めるために、彼女の元に駆けつけた。

 私が駆け付けると、彼女はとてもイライラしているように見えた。そして、すごい剣幕で、

 「なんで、挨拶もしないでいちゃうの?信じらんない」

 と、言いながら私の胸をたたき続けた。

 何にも言い返せないまま、時が過ぎて行った。

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2007年9月25日 (火)

月夜に浮かぶ月 Vo..2

 ピンポン。搭乗アナウンスが私の後ろから聞こえる。そんなアナウンスを聞きながら、友達の待つ車に向かっている、見知らぬ女性と一緒に。

 空港の外に出ると、ワインレッドのワンボックスカーが見えた。その車の中を見ると、友達が寝ていた。窓ガラスをコンコンと叩くと、友人が起きた。本当に熟睡していたせいか、目が赤くなっていた。男前の顔が台無しだなと思いながら、車のドアを開けてくれるのを待った。

 運転席から後ろのドアの鍵を開けようとした瞬間、彼の動きが止まった。彼女が目に入ったからである。彼女にというより、彼女の姿にといったようだ。振り返ると、彼女は友達に笑顔を振りまいていた。私を見ていた顔とはまったく違った。

 そして、彼女は口を開いた。

 「私も車乗せてくださらない」と。

 友達は一瞬何が起こったのか分からなかったのか、あいまいな返事をしていたが、運転席から降りて、ドアを開けていた。そんな二人の行動を見守りながら、私も車に乗り込んだ。

 車に乗ると、彼らは自己紹介をしあっていた。そんな自己紹介を聞きながら、彼女が何者かを知った。彼女の名前は、結花という名前で、ラスベガスで働いていたという。そのまんまだなぁと思い、私の口からプーッと笑いが出た。すると、彼女に睨まれてしまった。どうして睨まれるのかなぁと思いながら、移り変わる景色を見ていた。

 目を開けると、私の家の前に車が止まっていた。いつから止まっていたのだろうか。車の中は、私一人だけになっていた。戸惑いながらも、車に乗せてある荷物を荷物を持って、そそくさと家に入った。

 玄関に入ると、彼女のハイヒールが家族の靴と混ざっておかれていた。もちろん、友達の靴も。リビングに行くと、彼らはとてもリラックスした雰囲気で、私の家族と話をしていた。そして、彼女の口から信じられない言葉が出た。

 「今日から、あなたの部屋で休ませてもらうわね」と。

 そんな言葉が私の頭を何度も木霊した。

 それから、彼女との異様な生活が始まった。

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2007年9月24日 (月)

月夜に浮かぶ月 VoL.1

 久しぶりの成田空港。三連休の最後の日ということで、たくさんの人で溢れていた。仕事で3か月振りに帰ってきた私の目にはそんな光景が、どこか懐かしく見えた。私の働いていたインドネシアのスマトラ島にあるトバ湖は、たくさんの人が行きかうという光景を見ることができない。そんなことをする必要がないといった方が正しいのかもしれない。あまりにも田舎であったせいか、荷物は直接配達の人が持ってきてくれる。なぜなら、近くにお店などないからだ。

 そんな光景に懐かしい気持ちでウットリしていると、ひとりの女性と目があった。その女性は、どことなくこの景色に違和感を与えていた。違和感を与えるというのは、言葉を誤ったかもしれない。私の頭の中の枠組みで、この景色を見ているからである。

 その彼女が私の方に向かってきている。私の勘違いかもしれないが、私に笑顔を振りまいてやってくるのである。周りにいる人たちも、彼女の存在に気づいた。私の目もさっきから彼女に釘付けである。

 そもそも彼女の何が違和感を与えているのか。彼女の顔は、これと言って美人でもなくブスでもない。丸顔で、肩まで髪の毛を下げている。問題は彼女の来ている服装である。彼女は、ラスベガスで働いてましたという格好そのままで、成田空港に降り立ったのである。

 そんな彼女の服装にたくさんの人の視線が釘付けである。彼女は、笑顔を私の方に振りまきながら、私の前で言った。

 「こんにちは!!どこかで会ったことがあるかしら・・・」

 返答に詰まり、ドギマギしていると、彼女は続けた。

 「そんなのはいいわ。私疲れちゃった。これから、どこかに連れて行って・・・」

 「えっ」そんな言葉というか音が私の中から出た。

 ただただ呆然としながら、友達の待つ車に向かった。彼女と一緒に。

 それが、彼女との出会いである。

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